あかりという漢字に「明かり」と「灯り」があります。
「明かり」は太陽や月からの自然光を、「灯り」は人が灯したあかりを意味するそうです。
英語で言うと「Light」と「Lamp」の違いかな。
火という漢字が使われているように、昔は灯りと言うと焚き火やロウソク等の火を用いたものでしたが、ガス灯・白熱灯・蛍光灯、そして今日はLEDと時代とともに形を変えています。
と少し前置きが長くなりましたが、今回は北欧の街の灯りについて勝手に思うことを書きたいと思います。
まずはスウェーデンのLundの街で撮った街灯の写真。デンマークでもこれとほぼ同様の街灯があります。
前回の記事で書いたように、北欧の人達の光の感じ方は、自然環境や目の色からも少し私たちとは異なります。それが街灯にも表れており、光源が直接目に入らないようなケアと間接光にて明るさをとることがベースになっています。
これはコペンハーゲンの道路照明灯です。
街にはあまり電柱というものが無く、周りの建物からワイヤーで道路の真上に照明灯が吊るされています。(カテナリー照明と言います)
電柱が無い分、道のスペース的に優位なのと(自転車が多いことも影響してそう)、街の景観が電柱に邪魔されないことが良いですよね。
またこれが夜になり、まるで光源が宙に浮いているように見えること、かつ昼と夜との気温差で生じる霧により光のラインが見えることで、とても神秘的なNight Scapeとなります。
デンマーク王立図書館の夜景撮影。
コペンハーゲンの街の夜景は控えめです。
コペンハーゲンセントラルステーション内の写真。
日本で言う東京駅のようなものですが、駅構内に外光も取り込めるようになっており、また駅全体は赤っぽい暖色の照明が使われています。
駅全体として建築を引き立て、伝統的な雰囲気と厳粛さを感じさせてくれます。
デンマークのKlampenborg駅ホームの写真。
他の駅もそうなのですが、基本暗いです。東京のようにギラギラの蛍光灯で隅々まで明るく真っ白な駅のホームとは全く逆です。
東京は人が多いから安全面への配慮のためとは言えども、やり過ぎだと思います。しかもルーバーでの光源への配慮もないですし。都会の駅は(車内も)単純にまぶしすぎると感じましたね。明るければOKな文化。
これはフィンランドの地下鉄のエスカレータで撮影した一枚。
中央の蛍光灯にはルーバーによる光源への配慮、かつ両サイドからの間接照明。みんなが使う公共機関でこのような灯りの使い方がされていることに、照明文化の違いを感じさせられます。
スウェーデンLundで撮影した外から見た家の灯り。
デンマークでもそうですが、本当に外から住宅の窓を見て白い光を見ることはほぼ皆無。心地よい光は電球色という文化なのでしょうね。もちろん気温が低いことの影響もありますが。
日本の家でも最近だんだんと暖色が好まれるようになってきていると信じていますが、それでも昼白色の引掛シーリングが根強く残っている気がします。というか照明をそこまで気にしている家庭が少ないのかなと。
これには色々説があって、昔の障子越しの白い拡散光に日本人は親しみがあるからとか聞いたことがありますが、自分はそうはあまり思いません。そもそもそれは昼間の話しですし、昔はロウソクや焚き火とか人類の灯りはそこから来てるはずですし。
一番の理由は、戦争と蛍光灯、高度経済成長の組み合わせだと思っています。(長くなりそうなのでこの件は書きませんが)
今もう一度、日本の灯り文化を見直しても良いのではないでしょうか??