これまでのブログでも書かせて頂いてる住空間の灯りの基本的な考え方として、
①灯りのない暗い空間をベースにイメージする
②暮らしの中で灯りが必要な場所を考える
①②を元に、適度な明るさの灯りを足していく。ことを伝えております。
(夜の時間を心地良く過ごすためであることは大前提です)
では、なぜその考え方が良いのでしょうか?
まず一つは、灯りの美しさを引き出すことができるからです。
わかりやすくイメージとして、夜景やイルミネーションの灯りが綺麗で感動するのは、周りが暗いからです。
家の灯りついても、暗さや影がバランスよくあると心が反応する空間になります。また灯りの美しさだけでなく、陰影が出ることでインテリアや家具の魅力も引き立ちます。
一方、天井から部屋全体を明るく均一に照らす灯りは、奥行きのないのっぺりした空間となり、心の反応しない空間となってしまいます。
極端に言うと、日本のコンビニやドラックストアのような空間になってしまいかねません!!せっかく良い家具があっても、悲しい結果になってしまいます。
上記の考え方を元に家の灯りを考えると、結果として明るくなり過ぎず陰影のある空間になりやすいのです。
もう一つの理由は、人の心の通った暮らしや繋がりが生まれる空間となるからです。
夜の生活は、灯りのある場所で行われます。
例えば、
・家族と食事をするためにダイニングテーブルにある灯り
・ソファーで本を読むための灯り
・ベットの枕元にあるホッとする灯り
などなど
生活に必要な場所に灯りがあるので、人々はその場所集まり、そこで時間を過ごします。コミュニケーションも生まれやすくなるのです。
一方、灯りの場所を意識していないような部屋全体を照らす明るい灯りの場合、どこもかしこも明るいため、灯りに集まる暮らしとなりにくい。
家族であっても各々の活動場所が散らばってしまい、コミュニケーションが取りづらくなってしまっているかもしれません。
なお、昔の囲炉裏には、「炊事・暖を取ること・灯り」の3つの役割がありました。
夜の暗がりの中、人々は灯りのある暖かい囲炉裏の周りに集まり、コミュニケーション取りながら食事を楽しんでいたのです。
本来灯りとは、人々の暮らしに必要な場所に心地良く時間を過ごすためにあればよいです。